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エコナセイカツ

不要なものは持たない、不要な家事はやらない。日々シンプルライフ。

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「夜を乗り越える」(又吉直樹 著)を読んで

「夜を乗り越える」は以下の文章からはじまるお笑い芸人ピース又吉さんのエッセイです。

「なぜ本を読ん読むのか?」と聞かれたら、「おもしろいから」と答えるのが、自分にとってはもっともしっくりきます。

一冊の本と真剣に向き合い格闘するように読むこともあれば、時間が過ぎるのも忘れて楽しく読むのかこともあります。刺激的だったり、笑えたり、感動したり、何かを教えてくれたり、それは本当に素晴らしい時間です。

ワタシも拙著「しない家事」のはじめにで、家事をする時間があるなら、ゴロゴロして本でも読んでいたいと書いているぐらい、本を読むことが好きです。

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お盆休みはオットの実家でいとこたちと4泊5日し、子どもたち同士でたくさん遊んでくれたのでワタシはたっぷり本を読むことができました。

のんびり羽を伸ばしつつ、遊びの延長として色んな家事に挑戦してもらいました。お供え用のお団子を作るついでにみたらし団子を作ってもらったり。

長期休みはたっぷり時間をかけて向き合えるので、家しごとを教えるチャンスです。

子どもたちはたくさんの自然と触れ合い、ワタシは本と触れ合えた夏休みでした。

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「夜を乗り越える」は、本好きと公言している又吉さんの本の楽しみ方を書いた本で、火花のような小説ではありません。

ワタシは、10代〜20代前半は現代小説ばっかり読んでましたが、子どもが生まれてからは実用書やエッセイがほとんどでした。

この本を読み終えて、また小説読みたいな〜純文学を手にとってみようと思わせてくれました。

本は本屋さんで買いたい派です。本屋さんを応援したいし、包装も最小限でと言うことができます。ネットで買うと確実にゴミが増えます。特にamazonは1冊の本のために段ボールにどんだけの包装?と思ってしまいます。 だから、どうしても本屋さんで探しきれなかった本は楽天で買うようにしています。

楽天ブックスは封筒に入れてポスト投函なのでamazonのように再配達で電話をする必要もないし、段ボールを片付ける煩わしさもありません。

ネットは便利ですが、包装を開ける手間、ゴミをまとめる手間、段ボールを捨てに行く手間を考えたら、実店舗で買った方がラクだなぁと感じるようになりました。

ここからワタシが「夜を乗り越える」を読んで印象に残ったフレーズを引用していきます。

上の世代が新しい作品を否定し、同世代より下の世代がその作品を支持する。お笑いでも明石家さんまさんも、ダウンタウンさんもみんなそうだったと思うんです。時代を作ってきた作品は、全部上に叩かれ、若者に支持されてきた。映画も演劇も似たようなことがあったんじゃないですか。偉い人達に褒められに行く作品ではなく、表現は悪いですがジジイに怒られる作品を作らないといけないという意識はずっとありました。

確かにオリラジのパーフェクトヒューマンとかそうですよね。だとすると、ワタシも先輩ママから怒られる作品を書かないと著者として一人前にはなれないんだろうなぁ。

実際、クウネルのリニューアル号が記憶に新しいと思います。ワタシはクウネルという雑誌の存在を知りませんでした。でも色んな意味で世間をザワつかせていたので、どんなものかとはじめて本屋さんで手にとってみたのです。

私のようなクウネルを知らない世代を取り込もうとすると上の世代から批判されなければいけないんだろうなぁと。又吉さんの言葉で言い換えると「事件を起こす」ということなんだと思います。

暮らしの手帖の編集長だった松浦弥太郎さんも同じ状況を経験されています。

うれしいことに、売り上げ部数は伸び続けており、最新号が就任後の最高部数を記録しました。歴史のある雑誌ですから、基本的なことは何も変えていませんが、新たに目指したのは、50代以上にシフトしていた読者層を創刊当初の中心読者層だった30代から40代に広げることでした。

何かを変えれば、違和感を抱く人も必ずいます。編集長就任後1年間は苦情のお手紙もずいぶん頂きました。でも、それは僕にとってはありがたいことでした。ご批判を頂くというのは、それだけ気にかけていただいているということです。

ーー松浦弥太郎 | 就職ジャーナルより一部抜粋。

以下は又吉さんの本を読んで、確かに!と腑に落ちた部分です。

僕が本を読んでいて、おもしろいなあ、この瞬間だなあと思うのは、普段からなんとなく感じている細かい感覚や自分の中で曖昧模糊としていた感情を、文章で的確に表現された時です。自分の感覚の確認。つまり共感です。

それに加えて本の魅力のもうひとつに感覚の発見というものがあると思います。本を読むことによって、これまで自分が持っていなかった新しい感覚が発見できることです。

本の話題になると、「私には共感できなかった」という人がけっこういます。いや、あなたの世界が完成形であって、そこからはみ出したものは全部許せないというそのスタンスってなんだろうと思うんです。あなたも僕も途上だし、未完成の人間でしょう。それをなぜ「共感できない」というキラーワードで決めつけてしまうのか。「共感できない」というその言葉でその作品を規定しない方がいいと思うんです。むしろわからないことの方が、自分の幅を広げる可能性があります。

自分の感覚にはまるものがおもしろい、それ以外はおもしろくないというように読んでいくと、読書本来のおもしろさは半減してしまうと思います。読書のおもしろいところは、主人公が自分とは違う選択をすることを経験できることや、今まで自分が信じて疑わなかったようなことが、本の中で批判されたり否定されたりすることにあると思います。

本の中には、又吉さんの太宰治愛が随所に散りばめられていました。

一番素晴らしいと思うのは、太宰という作家が、むちゃくちゃ文句を言われようがむちゃくちゃ褒められようが、びくともしないところです。 嫌いな人は大嫌いだし、好きな人は大好きです。両極端な反応があり、読んだ後にどう思おうが読者の自由。 「太宰が嫌い」ということは、しかも大嫌いということは、逆にすごく影響を受けているということでもあります。「おもしろくなかったから読まなければ良かった」という人がいますが、「おもしろくなかったから読まなければ良かった」と思えたことが大きいと思うんです。 何かを思える。好きだとも嫌いだとも思える。ヒーローにもヒールにもなれるということは特別な作家にしかできないことです。

タイトルにもなっている「夜を乗り越える」は、太宰治の死からついたんだろうなぁと思います。愛人と心中したそうですが、その夜を乗り越えていたらと。

あの夜、六月十三日さえ乗り切っていたら、「全部嘘でした」ができたかもしれない。それが五回目の自殺未遂になっていたかもしれない。でもいろいろ整いすぎてたんでしょうか。ふたりは、その夜はどうすることもできなかったのかもしれません。

その夜を乗り越えないと駄目なんです。

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又吉さんのエッセイを読んで、太宰治作品を読みたくなったのは、ワタシだけではないと思います。

本は色んな世界を見せてくれます。それは実用書でも小説でもエッセイでも同じです。少しネットから離れて本を読む時間を作ると自分の中の引き出しは確実に豊かに、そして増えると思います。

時間が許す限り読書を楽しみたいなぁ。